マスクの洗浄と交換
患者さんに高い質の治療を快適かつ継続的に受けてもらうには、CPAPマスクや呼吸ケア用のマスクと部品を定期的に洗浄・交換することが重要です。ここでは、その理由と方法をお示しします。
マスクの洗浄
患者さんによるマスクの洗浄が重要である理由
患者さんがマスクを使用するたびに、マスクの皮膚に接する部分に皮脂が付着します。そのうちに付着した皮脂が蓄積し、マスクの摩滅や亀裂を引き起こしたり、次第にマスクが変色したりすることがあります。
効果的な治療を続けていくうえで患者さんに定期的にマスクを洗浄してもらうことが欠かせない理由は、ここにあります。
患者さんには、取扱説明書の指示に従い、使用しているマスクを刺激の少ない石鹸か希釈した液体洗剤とぬるま湯(30℃)で毎日洗浄するように伝えてください。加えて、就寝前に洗顔し、顔の余分な皮脂を落としてください。また、顔のマスクが触れる部分にはローションやクリームなどの保湿剤を塗らないことをお薦めします。保湿剤はマスクの密閉を妨げることがあるだけでなく、時間が経つとクッション部分の劣化につながるおそれがあります。
マスクの洗浄に関するFAQを読むマスクの洗浄方法
マスクの洗浄方法は取扱説明書に記載していますので、患者さんにはそちらの手順を参照するよう伝えてください。以下では、多くのマスクに共通する洗浄手順をご紹介します。
毎日、または毎回の使用後
マスクを分解します(マスクの取扱説明書に記載の手順を参照してください)。マスククッションがフレームから取り外されていることをご確認ください。
分解したマスクの各構成品を入念に手洗いします(ヘッドギアとソフトスリーブを除く)。中性石鹸とぬるま湯(約30℃)でやさしく洗ってください。マスクの密閉性を最適に保つため、使用後にクッションについた皮脂を取り除く必要があります。
毛先の柔らかいブラシを使って、小さい呼気孔やスイベル、エルボーの接続部などに注意を払いながら洗浄します。
各構成品を点検し、必要に応じて洗浄を繰り返し、汚れが残っていないことを目で確認します。
すべての構成品を飲用可能な水でよくすすぎ、直射日光が当たらない場所で自然乾燥させます。
呼気排出孔を含め、すべての構成品が乾いたら、マスクを組み立てます(組み立て方法については、マスクの取扱説明書をご確認ください)。
週1回
ソフトスリーブを含め、ヘッドギアを手洗いします(ソフトスリーブが付属しないヘッドギアもあります)。
よくすすぎ、直射日光が当たらない場所で自然乾燥させます。
ヘッドギアは分解せずに洗浄することが可能ですが、初めて洗浄する際にはヘッドギアの染料が落ちる場合がありますのでご注意ください。洗浄しても汚れが落ちない構成品や、劣化(亀裂、変色、裂け目など)が見られる構成品は、交換が必要です。
マスクの洗浄には不純物を含まない天然成分の洗剤/溶液を使用してもらうようにしてください。マスクの洗浄に非天然の原料を含む洗剤を使用していると、洗い流されずマスクに残留した物質を吸い込んでしまうおそれがあります。
マスクの交換
患者さんがCPAPマスクのクッションを交換すべき理由とその頻度
衣服やアクセサリーと同様に、マスククッションも使用に伴って消耗していきます。古いマスクは空気漏れが発生しやすく、古いヘッドギアは伸縮性が失われて締め付けが強くなり不快感が生じます。良い状態のマスクを使用していれば、患者さんが快適かつ効果的に毎晩の治療を続けることができます。
マスククッションの寿命は、装着する頻度、皮膚のタイプ(乾燥肌、脂性肌など)、マスクを洗浄する頻度など、さまざまな要因に左右されます。どのくらいの間隔でマスクを交換するかは患者さんごとに異なり、マスクの種類によっても一様ではないため、マスクの取扱説明書に記載されている洗浄とメンテナンスの手順に従って、患者さんにマスクを点検してもらうことをお勧めします。取扱説明書には、医療従事者と患者さんが各種のマスク構成品を点検、評価、交換するためのガイドも記載しています。
交換時期を判断するには
システムのどこかに劣化の徴候(亀裂、ひび割れ、変色、裂け目、クッションの損傷など)が見られる場合は、該当する構成品を廃棄して交換する必要があります。
一般論として以下の状況にあてはまる場合は、患者さんがマスクまたは構成品を交換する時期に来ている可能性が考えられます。
- 患者さんが頻繁にストラップを締めなおす必要がある。
- マスクの感触が固くなっていて、軟らかさや弾力が失われている。
- 普段よりも治療の効果が薄いと患者さんが感じている。
- マスクを洗浄した後でも、クッションがすべりやすい。
- マスクのクッションが透明性を失っている。
- マスクのクッションやフレームに摩滅、硬化、亀裂、破損の徴候が認められる。